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第14回MASコンペティション - シミュレーション結果分析を超えたMASの利活用 - 結果発表

2014年4月10日
(株)構造計画研究所

開催概要

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 おかげさまで第14回MASコンペティションは盛況の中、開催することができました。 あらためて感謝申し上げます。

本年度は、「シミュレーション結果分析を超えたMASの利活用」をテーマに開催いたしました。

最近のMAS研究の潮流として、従来の結果分析のためのシミュレーションに加え、 新たな知見の獲得や仕組みの理解をするための網羅的なシミュレーションや、実務面では可視化された結果を用いて議論するための参加型のシミュレーションなど、 MASの利活用の方法に焦点が当てられて来ているように感じます。 そこで、本年度は、前回ご好評だった様々な適用事例などの募集に加えて、MASの利活用の方法の提案を視野に入れた研究を積極的に募集いたしました。 また、以上の趣旨を踏まえ、東京大学大学院 和泉潔先生、北陸先端科学技術大学院大学 橋本敬先生らによる特別講演を企画いたしました。

日時

2014年3月14日(金) 9:30〜17:30 (コンペティション終了後、表彰式と懇親会を開催)

会場

(株)構造計画研究所 新館地下1階 レクチャールーム (http://www.kke.co.jp/corporate/map/tokyo2.html)

評価基準

評価基準1: 適用・利活用分野

MASの適用事例や利活用の方法として、題材・着眼点・見せ方等の点で新規性、または、創意工夫がある

評価基準2: 学術的・実務的分野

学術的あるいは実務的なMASの活用として優秀である。または、今後、実務面への転用が期待できる研究である

審査委員

審査委員長

  • 青山学院大学 山影進先生

審査員(五十音順)

  • 東京大学大学院 和泉潔 先生
  • 筑波大学 稲水伸行 先生
  • 東京工業大学大学院 寺野隆雄 先生
  • 防衛大学校 生天目章 先生
  • 明治大学 水野誠 先生

オブザーバー

  • (株)構造計画研究所 木村香代子

審査結果

優秀賞
乗合タクシー運行シミュレーターの開発と活用に関する研究
〜新しい乗合サービスの企画検討への応用〜
東京大学大学院
藤垣洋平
都市型観光地における最適な移動方法の検証—京都を愉しむために— 同志社大学
岩崎恵果

プログラム

発表タイトル 発表者
買物行動が沿道の歩行環境にもたらす影響及び改善策の有用性に関する研究 早稲田大学
壇辻貴生
乗合タクシー運行シミュレーターの開発と活用に関する研究
〜新しい乗合サービスの企画検討への応用〜
東京大学大学院
藤垣洋平
災害リスクを考慮した上での企業立地に関する研究 芝浦工業大学
木村由理佳
マルチエージェントシミュレーションによる金融経済と実体経済の連関に関する分析 防衛大学校
鈴木義人
スーパーマーケットで客はどう動く?
-顧客動線分析とエージェントシミュレーションからわかること-
東京工業大学
藤野俊樹
アルゴリズムの可視化による理解の促進事例
1. マルチエージェントで解く巡回セールスマン問題 - TSP Artクイズに挑戦!
2. パーティクルフィルタによる物体追跡 -ボールのありかを探せ-
椙山女学園大学
林美紗子 大竹裕望子
浦川由輝子 伊藤春奈
artisocを用いた学内の違反駐輪研究 筑波大学
戦略的思考artisoc班
都市型観光地における最適な移動方法の検証—京都を愉しむために— 同志社大学
岩崎恵果
津波避難時の自動車利用が住民の避難挙動に及ぼす影響に関する基礎的研究 徳島大学
垣内貴行
災害避難への分散制約最適化手法適用の効果 東海大学
飯塚泰樹

特別講演

講演1 「可能世界ブラウザ: ビッグデータの先を見るためのシミュレーション」

講演者: 東京大学大学院 和泉潔 先生
本講演では、いわゆるビッグデータによる社会現象の予測にいくつかの困難な点があることを示し、その一番の原因として、社会経済現象におけるミクロ・マクロ関係のダイナミクスを挙げる。 そして、その問題を解決する一つのアプローチとしてのエージェントシミュレーションの可能性を論じる。 大規模実データからのエージェントモデル構築とシミュレーション結果の評価について、 構成論的なアプローチに基づくエージェントベースの社会シミュレーション研究の新たな方法論、可能世界ブラウザを紹介する。 さらに、可能世界ブラウザの応用例として、実際の購買データに基づいたシミュレーションによる購買ターゲットの特定に関する研究事例を紹介する。

講演2 「構成論的シミュレーションの考え方に基づいたエージェントシミュレーションの事例」

講演者: 北陸先端科学技術大学院大学 橋本敬 先生
構成論的アプローチは作って動かすことで対象を理解しようというアプローチである。 この考えに基づいたエージェントシミュレーションは、主体性や社会性を含む複雑で創発的な現象の原理を探求する複雑系研究によく用いられる。 近年は、複雑系の原理探求に加え、心理実験、ゲーミング、社会調査などとの組み合わせで、認知メカニズムの推定や制度設計の検討などの具体的応用も進んでいる。 本講演では、構成論的アプローチの特徴やロジックを論じた上で、ルールダイナミクスが生じる社会のモデル、地域通貨流通の制度設計、コミュニケーションシステムの生成、 言語進化といったエージェントシミュレーションによる研究事例を紹介するとともに、今後の構成論的シミュレーションの発展についても展望したい。

講演3 「弥生農耕文化の主体は誰だったか?- 人類学・考古学へのエージェントベースシミュレーションの適用」

講演者: (株)構造計画研究所 坂平文博
合同エージェントワークショップ&シンポジウム(JAWS 2013)最優秀論文賞

講演4 「都市課題の改善に向けたマルチエージェント・シミュレーションの活用」

講演者: (株)構造計画研究所 北上靖大
実務面での参加型シミュレーションに関して、防災・交通分野での弊社の事例についてのご紹介

連絡先

株式会社構造計画研究所 創造工学部
MASコンペティション2014事務局担当: 坂平 文博
TEL 03-5342-1125 / FAX 03-5342-1225
e-mail mascompetition14@kke.co.jp