身の回りの複雑系

街のにぎわいと3D都市モデル

「にぎわい」ってなんだろう?

新型コロナの影響も徐々に収まってきていて、お出かけもしやすくなってきました。
旅行も盛んになり、観光客も増えてくると、閑散としていたまちにもにぎわいが戻ってきそうですね。

ところで、「にぎわい(賑わい)」とは何でしょうか。
「商店街ににぎわいを取り戻す」「にぎわい空間の創出」など、まちづくりにおいてよく聞かれるようになっていますが、あまりよくわからない言葉です。

調べてみると、「にぎわい」に明確な定義はないようです。
単純に考えてみると、
「たくさんの人が集まっていること」は一つの「にぎわい」であると言えそうです。



ただ、通勤ラッシュの時間帯の駅のホームを「にぎわっている」とは言いませんね。「混雑している」と言います。


では、人が集まっていてどうなっていると「にぎわい」なのでしょうか。
例えば、上野のアメヤ横丁(「アメ横」)はにぎわいのある場所というイメージがありますし、お花見客の多い公園もにぎわいがあるように感じますね。


世代も目的も違う人が一堂に会している。
このようなことも「にぎわい」というのかもしれません。


「にぎわい」があるとどうなる?

「にぎわい」があるとどのようなことが起こるのでしょうか。

道ばたに人だかりができていたら、皆さんはどうするでしょうか?
「何が起こっているんだろう」「何かおもしろそう」と思ってその人だかりに近づいてみたくなりませんか?
(あるいは、人が多いことが苦手な人であれば、その人だかりを避けるような行動を取るかもしれません。)

2022年11月 西新宿における社会実験時の様子


にぎわいに近づいても、にぎわいを避けるように行動しても、そのにぎわいがあることで、周囲の人の行動が少しずつ変わっていきそうです。
もしそのにぎわいが非常に魅力的なものであれば、にぎわいがさらなるにぎわいを呼び、まち全体に活気が生まれてくるかもしれません。

 

「にぎわい」をシミュレーションで表現する

にぎわいを生み出す方法を考えるうえでも、シミュレーションを活用することができます。

シミュレーションの例として、大規模なイベントが行われた場合にまちのにぎわいがどのように変化するかを表現したシミュレーションをお見せします。このシミュレーションは東京都の西新宿エリアを対象としたものです。
歩行者の行動については、artisoc Cloudのモデルを用いて表現しています。


(※青丸が1人に該当します。イベントに立ち寄る人はシミュレーション内で青丸が赤丸に変わります。)


シミュレーションした結果は、3Dで可視化することもできます。


(※赤いアイコンが女性、青いアイコンが男性を表します。)



※3D都市モデルは、一般社団法人新宿副都心エリア環境改善委員会が所有するモデルを使用しています。



「イベントを実施することで、どこにどういうにぎわいが生まれるのか」がシミュレーションからわかるようになると、にぎわいを生み出す効果的な方法がいろいろなところで検討できるようになるのではないでしょうか。 

<参考資料>
国土交通省 PLATEAU UC22-023 歩行者移動・回遊行動シミュレーション
https://www.mlit.go.jp/plateau/use-case/uc22-023/

構造計画研究所 プレスリリース(2023.5.23)
国土交通省が主導する「Project PLATEAU」に参画し ユースケース開発の実証を行いました

 


(2023年4月)