MASのモデル
ワッツ・ストロガッツモデル
ワッツ・ストロガッツモデルとは
世界中の人は平均6人の知り合いを介してつながっているという「スモールワールド現象」があります。(⇒<世界の誰とでも平均6人でつながっている>を参照)
1998年に心理学者ワッツとその指導教員のストロガッツが、ネットワーク理論を用いてスモールワールド現象を説明しようとした最初の論文を発表し、 その中で提案したのがワッツ・ストロガッツモデル(WSモデル)です。
WSモデルは、平均次数を大きくしすぎずに、小さい平均距離と大きいクラスター係数を同時に達成するネットワーク、すなわち「スモールワールド・ネットワーク」を作成することができます。
この論文がスモールワールド的な性格が自然のあるいは人工的なネットワークの双方に出現することを示したことをきっかけに、本格的な複雑ネットワーク研究の幕開けとなりました。
スモールワールド・ネットワークを再現
WSモデルのルールとして以下のように定義します。
① 空間上にn個のノード(エージェント)を生成します
② 各ノードはk個の近隣のノードに接続します。
③ 各ノードにつながれている各リンクを組み換え確率p(0.1程度)でランダムに別のノードにつなぎ変えます。
組み換え確率を変えて、スモールワールドができる過程をシミュレーションしてみます。
モデルの面白いところ
・スモールワールド性が確認できる
確率pを調整することで、「レギュラーネットワーク(隣同士が手をつないでいる状態)」から「スモールワールドネットワーク」→「ランダムネットワーク(手をつなぐ相手がバラバラの状態)」へと変化していく様子が確認できます。
・クラスター性が確認できる
共通の知人がいる場合、お互い同士を知っていれば三角形の小さいネットワークになります。この性質はクラスター性と呼ばれており、クラスター係数として比較ができます。
もっと読むなら
[1] Milgram, S., "The Small-world Problem," Psychology Today, 1, 1967, pp. 60–67.
[2] Granovetter, Mark, The Strength of Weak Ties, American Journal of Sociology, Vol. 78, No. 6., May 1973, pp. 1360-1380.
[3] Watts, D. J. and Strogatz, S. H., Collective dynamics of ‘small world’ networks, Nature 393, 1998, pp. 440-442.
[3] Duncan J. Watts, Six Degrees: The Science Of A Connected Age, 2003. , ISBN 0393325423
ダンカン・ワッツ, 辻 竜平(訳), 友知 政樹(訳), 『スモールワールド・ネットワーク―世界を知るための新科学的思考法』, 阪急コミュニケーションズ, 2004年10月, ISBN 4-484-04116-2
[4] Buchanan, M., Nexus: Small Worlds and the Groundbreaking Science of Networks, W W Norton & Co Inc (2002), ISBN 0-393-04153-0
マーク・ブキャナン, 阪本芳久(訳), 『複雑な世界、単純な法則―ネットワーク科学の最前線』, 草思社, 2005年2月, ISBN 4-7942-1385-9
ワッツ・ストロガッツモデル 基本情報 【モデルタイトル】:ワッツ・ストロガッツモデル(WSモデル) artisoc Cloud artisoc4【モデル考案者】:Watts, D. J. and Strogatz 【モデル発表年】:1998 【artisocサンプルモデル作成】:構造計画研究所 森俊勝 【artisocサンプルモデル作成日】:2009年1月 |