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Sugarscapeモデル
どんなモデル?
人工社会におけるエージェントの生活と環境の相互作用を、食料配置の空間分布で示したモデルです。

このモデルでは、エージェントを「アリ」、食料を「砂糖」と見立てています。そのため、Landscape(環境)とSugar(砂糖)を合わせて、Sugarscapeモデルと呼ばれます。

エプスタインの『人工社会』では、このモデルを用いて、人間社会のいろいろな事象(交配、文化、闘争、経済など)が説明されていますが、ここではサンプルモデルに従って、主にエージェントの生死について紹介します(『人工社会』第Ⅱ章)。その他の事象については、後ろの参考文献をご覧ください。

このモデルは、空間上に砂糖が分布していますが、その量は場所によって異なります。一方で、アリは視力や代謝率(エネルギー消費率)などの遺伝的特性を持っています。

アリは、視力の範囲内でもっとも砂糖の多い場所を見つけ、そこに移動して砂糖を食べます。しかしながら、アリは移動するたびに、代謝率と同じだけのエネルギー(食べた砂糖)を消費してしまいます。そして、エネルギーがなくなれば、アリは死んでしまいます。

このようなにアリの行動ルール自体は単純ですが、環境との相互作用によって、いろいろな現象が発生します。例えば、環境にある砂糖の量によって生き残ることができるアリの数に制限があることや砂糖を追い求めてアリが移住することなどが見られます。

モデルのルール
初期設定では、50×50の空間上に2つの頂点を中心として同心円状に砂糖の量が分布している状態です。中心に近いほど砂糖の量は多くなっています。砂糖の山が2つあるようなイメージです。

アリは、赤いアリと青いアリの2種類います。初期設定では、それぞれ任意の数だけ空間上にいます。

赤いアリはせっかち君で、青いアリよりもエサを見つけるための視野は広いですが、移動する度により多くのエネルギーを消費します。

青いアリはのんびり屋さんで、赤いアリよりも視野は狭いのですが、移動するのに必要なエネルギー消費量は少ないです。

そして、前述したように、それぞれのアリは視野の範囲内で、もっとも砂糖の多い場所を見つけ、そこに移動して砂糖を食べます。

しかしながら、アリは移動するたびに、食べた砂糖を消費してしまいます。そして、エネルギーがなくなれば、アリは死んでしまいます。また、ある一定量以上の砂糖を蓄えていた場合に、子ども(自分のコピー)を産みます。

一方で、砂糖の方は、ある一定時間が経過すれば回復します。砂糖ではイメージがつきにくいですが、植物が生えてくるようなイメージです。

Sugarscapeモデルをダウンロード

モデルの実行にはartisoc または artisoc player(無償)が必要になります。


モデルの面白いところ(基本編:環境収容力)
①赤いアリ100匹、青いアリ100匹でモデルを実行すると、広い視野を持つ赤いアリはスタート直後、砂糖がもっとも多い中心に移動しますが砂糖を食べつくしてしまうので徐々に同心円状に位置を変えていきます。一方で、狭い視野の青いアリはスタート直後に中心には行けず、その周囲に位置するようになります。

スタート当初は一見、赤いアリが有利に見えます。実際に、赤いアリはスタートしてからしばらくの間、子どもを産むのに十分な砂糖の量を得られるので、赤いアリの数は増えます。

②しかしながら、中盤では、赤いアリは減少する一方で、青いアリが増えます。なぜなら、赤いアリは、中心部にて集中的に砂糖を食い尽くしてしまった後に移動する際には、すでに青いアリがいる場所以外のところを見つけなければならないため、その場所に移動する際によりエネルギーを消費してしまうため、死んでしまうからです。

③その後、一度砂糖が食べつくされてしまった終盤になると、赤いアリも青いアリも数が減りますが、最後に生き残っているアリは、より視野の広く再生している砂糖を見つけやすい赤いアリのようです。

このように、環境によって生き残れるアリの数が決まり、そのアリが環境を変えることで、アリの数が変動する様子が見ることができます。これは、人類史における環境と人口変動の関係の一端を表しているとも言えます。



モデルの面白いところ(発展編:移住)
今度は、季節変動として、ある一定間隔で、空間の上下に交互に砂糖の山が現れる状況だとどうなるでしょうか。

この場合、先ほどと異なり、終始、より視野の広く再生している砂糖を見つけやすい赤いアリの方がより数を維持できるようです。



もっと読むなら
Epstein,J.M. & Axtell, R.:Growing Artifical Societys: Social Science from The Bottom Up, (The Brookings Institution, 1996)[服部正太,木村香代子訳『人工社会―複雑系とマルチエージェント・シミュレーション』

キーワード:移住,人口,Sugarscape,生死,マルチエージェント・シミュレーション
坂平文博 (構造計画研究所) 2017年6月26日

Sugarscapeモデル 基本情報

【モデルタイトル】:Sugarscapeモデル
【モデル考案者】:Joshua M. Epstein & Robert Axtell
【モデル発表年】:1996
【artisocサンプルモデル作成年】:2007



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